養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究
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平成15年,養育費及び婚姻費用の算定について,東京及び大阪の高等裁判所,地方裁判所及び家庭裁判所に所属する裁判官を研究員とし,東京家庭裁判所及び大阪家庭裁判所の家庭裁判所調査官をオブザーバーとした三代川俊一郎ほか「簡易迅速な養育費等の算定を目指して-養育費・婚姻費用の算定方式と算定表の提案」(判例タイムズ1111号285頁,1114号3頁)が発表された(この提案による算定方式及び算定表を併せて「標準算定方式・算定表」といい,算定方式又は算定表のみを指すときは「標準算定方式」又は「標準算定表」という。)。この提案は,簡易迅速に,合理的な養育費及び婚姻費用を算定するもので,当事者等への予測可能性が高く,公平にも適うものであったため,瞬く間に家裁実務等に広まり,完全に定着している。もっとも,その提案がされてから15年余りが経過したこともあり,時の経過や社会実態の変化等を理由として,その内容に改良する点がないかを検討する必要が生じている。
そこで,司法研究員らは,本報告書において,検討の上,改良した算定方式・算定表である「改定標準算定方式・算定表(令和元年版)」(以下,単に「改定標準算定方式・算定表」といい,算定方式又は算定表のみを指すときは「改定標準算定方式」又は「改定標準算定表」という。)を提案することとし,併せて,民法の定める成年年齢を20歳から18歳に引き下げることなどを内容とする「民法の一部を改正する法律(平成30年法律第59号)」(以下「改正法」という。)の成立・施行の影響を検討することとした。
これらの検討の前提となった実務の運用については,司法研究員らの実務経験に基づくもののほか,東京家庭裁判所及び大阪家庭裁判所における家事事件及び人事訴訟事件担当裁判官及び職員からの実情聴取の結果を参考にした。
(本書「はしがき」より)