子産みを支えた政策と助産者のケアする力
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新生児・産婦の死亡率対策として1958年に始まった「母子健康センター」は、自治体が助産者(師)を活用して、子産み・子育てを支援する画期的な事業であった。しかし、出産が産科・婦人科病院に大きくシフトしていくにつれ、「母子健康センター」はなし崩し的に衰退していった。政府は、この事業を総括することなく、フィンランドのネウボラ制度に学ぶとしつつ、2016年、「子育て世代包括支援センター」事業に大きく転換した。著者は、2002年時点で「母子健康センター」を存置していた126自治体への質問紙調査を行い、また10の自治体を訪問し、多くの助産者等の当事者から極めて詳細な証言を聴取した。その実態から、こんにち我が国の産婦が置かれている苦境を克服するヒントを見出し、当事者の女性の目線から、「子育て世代包括支援センター」を改良する道筋を提起する。子ども家庭庁の設置に見られるように、少子化対策がますます問われるこんにち、極めて有益な労作である。
(出版社情報)