北関東「移民」アンダーグラウンド
¥ 1,760 税込
- 商品コード
- 1731956
関連カテゴリ
実店舗在庫
読込中...
北関東というのは独特の匂いのする地域である。大宅賞作家・安田峰俊の最新作は、その北関東に地下茎のごとく張り巡らされた、「移民」たちのネットワークのルポだ。移民に「」がつくのは、日本には制度上、移民はいないから。しかし、悪名高い、技能実習生制度によって、200万人近い実質移民がこの国にはいて、その多くは劣悪な環境に嫌気がさして逃亡、不法滞在者として日本のアンダーグラウンドを形成している。彼らは自国の経済が発展し、出稼ぎに出なくても食えるようになると、日本になど来なくなる。そのため、アンダーグラウンドの主役はどんどん変わる。かつて中国人が主役だったアンダーグラウンドを、今、占拠しているのはベトナム人なのだ。しかし、インドネシア人やカンボジア人に取って代わられる日も近いようだ。。ベトナム人によるアンダーグラウンド組織が有名になったのは、群馬県で起きた「子豚窃盗事件」。養豚場から盗まれた子豚は、彼らのアパートで解体され、彼らのネットワークの中だけで処理されたため、警察の捜査は難航した。このように、アンダーグラウンドで完結する犯罪は表に出にくいのである。桃などの果物も、かなり派手に盗まれているが、犯人はなかなか逮捕されない。本作では、筆者と通訳の「チーくん」(彼はベトナム人留学生で日本語も達者)が、まるでホームズとワトソンのように、「移民」による事件現場を訪ね歩く。血なまぐさい殺人現場で、謎のベトナム人が押し入れから飛び出してきた時には、2人して腰を抜かしかけた。そうやって、あちこち探り歩いて、ついに北関東ベトナム人アンダーグラウンドのボス、「群馬のアニキ」にたどり着く。スキンヘッドに蜘蛛の入れ墨、見るからに恐ろしい「群馬のアニキ」の口から語られる犯罪組織の真実とは……。豚の窃盗から、誘拐、殺人と、あらゆる犯罪現場に米とベトナム人の好物、雷魚とアヒル、そしてビールを手土産に走り回る2人。恐ろしくて面白い、アンダーグラウンドレポート!
(出版社情報)