3.11からの平和学
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設立50周年を迎えた日本平和学会が〈文明と平和学〉の課題に挑むシリーズ第1巻は、東京電力福島原発事故によって顕在化した近代文明社会の構造的暴力を問う。人間と自然、科学技術と戦争、中心と周辺といった視座から、望ましい社会の実現をはかる知的探求の成果。
[目次]
シリーズ「文明と平和学」について[佐々木寛]
はじめに――3.11からの平和学[鴫原敦子]
第1部 「3.11」とは何か
第1章 語りにくい原発事故被害――なぜ被害の可視化が必要なのか[清水奈名子]
第2章 3.11後の復興と〈自然支配〉――ポスト開発論の視点から[鴫原敦子]
第3章 福島県中通りにおける地域住民の闘い――放射性廃棄物処理問題をめぐって[藍原寛子]
第4章 福島県外自治体が経験した原子力災害――原子力との関係性に変化はみえるか[原口弥生]
第5章 福島原発事故メディアの敗北――「吉田調書」報道と「深層」をめぐって[七沢潔]
第2部 グローバルな文脈からみた「3.11」
第6章 原子力災害と被災者の人権――国際人権法の観点から[徳永恵美香]
第7章 戦後の核開発国際協調体制とフクシマの連続性――UNSCEAR(原子放射線の影響に関する国連科学委員会)を中心に[高橋博子]
第8章 福島第一原発事故の後始末――海洋放出に反発する太平洋諸島の人びとの声[竹峰誠一郎]
第9章 気候危機とウクライナ危機と忘却とによる「究極の選択」――原発再稼働への平和学からの問題提起[蓮井誠一郎]
第3部 原子力型社会を乗り越える
第10章 原発事故後の分断からの正義・平和構築――非対称コンフリクト変容と修復的アプローチ[石原明子]
第11章 「風評」に抗う――測る、発信する、たたかう人びと[平井朗]
第12章 「脱原子力社会」へ歩み出した台湾――原発廃止・エネルギー転換・核の後始末[鈴木真奈美]
おわりに――近代「文明災」としての3.11[佐々木寛]
(出版社情報)