乳幼児揺さぶられ症候群は、ジャンクサイエンスなのか?
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乳幼児揺さぶられ症候群(SBS : Shaken Baby Syndrome)は,赤ちゃんを揺さぶることで幼弱な脳に甚大な損傷を与え,時には罪なき彼らの命すらも奪ってしまう。
本書はさまざまな事例の紹介や臨床現場からの証言,裁判例等を通じて,世間に流布する誤解――「SBSなど存在しない」「赤ちゃんを揺さぶっても問題はない」など――を解き,「予防できる悲劇」であるSBSの発生を防ぐための最良の一書である。
第1部では乳幼児揺さぶられ症候群(SBS)の概要,歴史,病態生理学を説明し,この加害行為がもたらす法的・社会的・感情的影響について概説する。
第2部ではSBSの被害児像・加害者像を事例を用いて検討し,また法廷における論争と被害児・加害者それぞれの家族が被る影響についても述べる。
第3部では,SBSに対する実践を,米国における実際の裁判例や予防戦略,泣いている赤ちゃんをなだめる方法といった視点から紹介する。
巻末には付録として,「訳者によるAHT(Abusive Head Trauma:虐待による頭部外傷)解説」も収録。漫画による解説と医師・法医学者・児童福祉司・報道関係者など各分野の専門家によるコラムを多数掲載し,AHTを取り巻く論争の「今」に迫っていく。