「契約は他人を害さない」ことの今日的意義
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「契約は相対的な効力しか有しない」というローマ法以来の基本原則があるが、この具体化として「契約は他人を害さない」という考え方がある。この原則は現在においても揺るぎない地位を保っているが、債権譲渡禁止特約など個別の事例においては、他人を害する契約の効力が認められているように映る場合もある。現実の多くの取引関係において3人以上の利害関係者が関与するケースが多い今日の実情は、この原則の意味を再確認する意義を投げかけており、古典から現代まで見通した本書の研究は民法理論上のマイルストーンとなるだろう。
[目次]
第1部 相対性原則の多様性と日本法
第1章 相対性原則の起源と派生的発展
第2章 日本法における相対性原則の理解
第3章 相対性原則の再構成
第2部 他人の契約から守られるべき第三者の利益
第4章 ドイツ法における「第三者に負担をもたらす契約」
第5章 日本法における契約と第三者との関係
第3部 「第三者に対する抗弁事由の主張」の正当化根拠
第6章 ドイツ法における議論状況
第7章 日本法における議論状況
第8章 「第三者に対する抗弁事由の主張」と相対性原則
終 章 本書のまとめ
付録1 仏独法規等仮訳
付録2 ドイツ裁判例資料