大阪・関西万博「失敗」の本質
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開幕前からあえて「失敗」と断じることには反発も当然あるだろう。だが、こうしたメガイベントというのは、五輪もそうだが、事前に批判すれば「楽しみにしてる人もいるのに水を差すのか」「成功へ努力する関係者の足を引っ張るのか」と言われ、事後に検証すれば「終わったことをいつまでも」「今さら言っても遅い。なぜ事前に言わないのか」と批判されるのである。どんな形であれ、とりあえず終わってしまえば、なんとなく「やってよかった」という空気ができ、それに乗じて関係者は「大成功だった(私の手柄だ)」と言い募る。「成功」の基準がないから、いくらでも恣意的に語られてしまう。そうなる前に、「失敗」と見る立場から問題を整理し、指摘しておくべきだと考えたのである。
(「はじめに」より)
[目次]
第1章 維新「政官一体」体制が覆い隠すリスクー万博と政治 木下功
第2章 都市の孤島「夢洲」という悪夢の選択ー万博と建築 森山高至
第3章 「電通・吉本」依存が招いた混乱と迷走ー万博とメディア 西岡研介
第4章 検証「経済効果3兆円」の実態と問題点ー万博と経済 吉弘憲介
第5章 大阪の「成功体験」と「失敗の記憶」-万博と都市 松本創