自由は脆い
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自由は脆い
世俗権力は過去の宗教的シンボルと道具を利用してきた。そしてファシズムがテクノロジーを利用して再作動している。欧州では極右政党が蔓延しつつある。「大衆の操作」は古くて新しい問題なのだ。
ITが世界を覆う不透明な転換期に、新しい文献学を模索する歴史家の最新論考集である。
「恐怖」が思想の基本的概念であったホッブズに先駆し、「自発的隷従」を提示したラ・ボエシ。自然の中に殺戮の連鎖を視たヴォルテールや抑制されない暴力を思考したサドなどに拠り、ファシズムの新しさに魅惑されつつ応答したバタイユたちの「聖なる社会学」。著者へのオンライン版インタビュー「ファシズムには未来がある」。
過去に立てられたもろもろの問いは入れ子状の箱に入っているかのように繰り返し検証を求める。ソーシャル・メディアがフェイク・ニュースをまき散らすのはたやすいが、立証には重荷がのしかかる。それでも歴史認識は解毒剤になりうるだろう。
著者の父レオーネはロシア帝政下のオデッサでユダヤ人の家に生まれ、イタリアのトリーノで教育を受けたロシア文学者。反ファシスト抵抗運動に身を投じるが、1943年、ローマでイタリア警察に逮捕される。そしてローマを占拠していたナチス軍に引き渡され、拷問のすえ、翌44年2月虐殺された。ファシズムの時代に生まれ、戦後は父を探求の案内人にしてきたというカルロ・ギンズブルグが現代をどう見るかは、それ自体が時代のひとつの「証言」である。
(出版社情報)